「藍染めってどうやって作るんですか?」というご質問を、ワークショップでよくいただきます。工程を知ると、完成したピースの見え方が変わります。ここでは、私たちが毎シーズン一緒に仕事をしている淡路島の山本藍工房での工程を、順番に書いていきます。

「藍建て」から始まる

天然藍染めは、まず「藍建て」という工程から始まります。発酵させた藍の葉(蒅/すくも)を水に溶かし、アルカリ性の環境を作ります。山本工房では木灰汁を使います。この液体を「藍甕(あいがめ)」と呼ばれる大きな甕に入れ、毎朝かき混ぜて発酵を促します。藍甕の管理は毎日の作業で、温度が下がりすぎると発酵が止まります。冬は甕の周りに藁を巻いて保温します。

染色と「空気酸化」の仕組み

素材を藍甕に浸すと、最初は黄緑色に見えます。これは藍が還元状態にあるためです。甕から引き上げて空気に触れさせると、酸化が起きて青色に変わります。この変化を見るのが、染色の中で最も面白い瞬間です。色を濃くするには、この「浸す・引き上げる・酸化させる」を繰り返します。私たちの藍重ねスカーフは3回繰り返しています。

媒染剤の役割

媒染剤は、染料を素材に定着させるための物質です。天然藍の場合、媒染剤なしでも色は定着しますが、媒染剤の種類によって色味が微妙に変わります。山本工房では木灰汁(アルカリ性)を使います。鉄媒染を使うと青みが深くなり、アルミ媒染では明るい青になります。私たちがロットカードに媒染剤の種類を記録しているのは、この違いが後から見たときに意味を持つからです。

水洗いと乾燥

染色後は流水でよく洗い、余分な藍を落とします。この工程を省くと、後から色落ちが激しくなります。乾燥は直射日光を避けた風通しの良い場所で行います。山本工房では竹林の陰を使います。乾燥時間は気温と湿度によって変わり、夏は4〜6時間、冬は8〜12時間かかることもあります。

なぜ同じ色が二度と出ないのか

藍甕の状態、気温、湿度、素材の状態、浸す時間。これらすべてが毎回微妙に異なります。同じ工房、同じ職人、同じ素材を使っても、染色日が違えば色は変わります。これを「欠点」と見るか「特徴」と見るかで、天然染料との付き合い方が変わります。私たちはロットカードにすべての条件を記録することで、その「一回性」を価値として残すことにしました。

天然藍染めの工程を知ると、完成したピースの青が違って見えます。毎月のワークショップでは、この工程を実際に体験できます。次回は2026年7月19日(土)、定員6名です。