「金糸」という言葉は知っていても、それが何からできているかを答えられる人は少ないと思います。私たちが使っている西陣の金糸がどこから来るのかを、2023年の秋に工房を訪ねて確認しました。その記録です。
金糸の基本構造 ¶
西陣の金糸は、金属箔を細く切ったものを芯糸に巻き付けた構造です。芯糸は絹が多く、金属箔は金・銀・アルミなどが使われます。私たちが使っているのは金箔を使ったもので、箔の厚さは0.1ミクロン以下。これを幅0.3mmに切って絹糸に巻きます。この細さになると、光の当たり方によって色が変化します。
箔の産地は金沢 ¶
西陣の金糸に使われる金箔の多くは、金沢で作られています。金沢は日本の金箔生産の大部分を占める産地で、職人が手で叩いて薄く伸ばす「打ち延べ」の技術が今も残っています。私たちが訪ねた西陣の工房では、金沢の特定の箔師から仕入れた箔だけを使っていました。「箔の産地が変わると、光り方が変わる」と工房の主人は言っていました。
西陣での加工工程 ¶
金沢から届いた箔を、西陣の工房で細く切り、絹糸に巻きます。切る幅は用途によって異なり、帯用は太め、刺繍用は細めです。私たちのポーチに使っている刺繍用の金糸は幅0.3mm。これを手で絹糸に巻く工程は、現在も機械化されていない部分が残っています。
金糸の密度と光の関係 ¶
西陣金糸ブックマークをご覧になった方から「場所によって光り方が違う」というご感想をいただくことがあります。これは意図的なものです。金糸の密度を場所によって変えることで、光の当たり方によって異なる表情が出ます。均一に光るより、ムラがある方が面白いと思っています。
金糸の来歴を知ると、ポーチやブックマークの見え方が変わります。今シーズンのコレクションでは、金糸刺繍ポーチと西陣金糸ブックマークの2点に使用しています。