「泥染めなのに、なぜ灰色なんですか?」これはワークショップでよく出る質問です。奄美大島出身の染色担当・田中奈緒が、泥染めの仕組みを説明します。赤土と植物のタンニンが反応する化学的な話ですが、難しくはありません。

泥染めの原料は二つ

奄美の泥染めには、二つの原料が必要です。一つは「車輪梅(しゃりんばい)」という植物の樹皮から取ったタンニン液。もう一つは、奄美の海岸近くに堆積した鉄分を多く含む赤土です。この二つを組み合わせることで、独特のグレーブラウンが生まれます。どちらか一方だけでは、この色は出ません。

タンニンと鉄の反応

車輪梅のタンニンを素材に染み込ませた後、鉄分を含む泥に浸すと、タンニンと鉄が反応して黒みがかった色に変化します。これは「鉄媒染」の一種です。泥の鉄分濃度と浸す時間によって、色の深さが変わります。田中奈緒が担当するブラウスは、泥に30分浸した後、水洗いして乾燥させる工程を2回繰り返しています。

奄美の赤土でなければならない理由

泥染めに使う赤土は、奄美大島の特定の場所から採取したものを使います。鉄分の濃度が場所によって異なるため、産地が変わると色も変わります。田中奈緒は毎年、奄美の実家近くの海岸で赤土を採取し、京都のアトリエに持ち帰っています。「奄美の土でなければ、この色は出ない」というのが彼女の言葉です。

泥染めの耐久性

泥染めは洗濯に比較的強い染色方法です。タンニンと鉄が素材の繊維に化学的に結合しているため、色落ちが少ない。ただし、アルカリ性の洗剤は鉄の反応を変化させるため、中性洗剤での手洗いをお勧めしています。適切なケアをすれば、10年以上色を保つことができます。

泥染めリネンブラウスは今シーズンのコレクションに含まれています。S・M・Lの3サイズ展開で、各サイズ4点のみの制作です。気になる方はお早めにどうぞ。